税理士先生が個人事務所から組織経営事務所になるためにするべきことまとめ

個人事務所型の税理士事務所の所長先生がいかに組織をつくるかについて、コンテンツをまとめたので掲載します。
このコンテンツは適宜更新していきます。

個人事務所型の税理士事務所とは?

初めに、個人事務所型の税理士事務所をご説明します。

  • 売上高が1,000~3,000万円
  • 顧客単価は40~100万円程度
    基本的には先生がすべての案件の面談対応を行います。
    また、申告書と一部の月次業務のチェックも先生が行います。
    資料回収は一部郵送ですが、訪問した際に回収するパターンもあります。
    届いた資料の入力、月次試算表の作成がパートさんのお仕事です。
    入力補助のパートさんが3~5名で、とりまとめの正社員がいる場合もあります(製造専門)

ぱっと見た感じチームではありますが、この延長に組織経営はあまり見えません。
なぜでしょうか?
一番大きな理由は、”自分だけしか面談できない状況”が変えられないためです。
つまり、フリーランス型から組織経営型にするには、
”顧客の面談を社員に担当してもらう”というかなり大きなハードルを越える必要があります。

顧客の面談を社員に担当してもらうためには何が必要でしょうか?
大きく3つの観点があります。

  1. 人に任せるというマインドを持てるか
  2. 人に任せられるサービスで受注しているか
  3. 人を採用・教育できるか

詳しく解説しますね。

課題1.人に任せるというマインドを持てるか

税理士事務所の代表にとって、顧客面談の担当を社員に任せることは簡単ではありません。
自分の力だけで事務所を立ち上げ、発展させてきた税理士先生は、仕事に対する誇りと自信を強く持っているからです。
そのため、「人に任せる」ということに不安や抵抗を感じるのは当然のことなのです。
先生は、クライアントとの面談を通じて信頼関係を築き、専門知識を提供することで事業を成長させてきました。
だからこそ、社員が同じようなサービスを提供できるかどうか心配になります。
自分が築いてきた事務所の評判が下がったり、顧問先を失ったりするリスクを考えると、大切な仕事を他人に任せる決断は難しいものです。

対処法1

このようなメンタルブロックを取り除くには、まず事務所の新しいビジョンを描くことから始めましょう。
「担当者として一流でありたいのか、経営者を目指すのか」という将来ビジョンの話になります。
経営者を目指すなら、自分じゃない人が顧客にサービスを提供する形を描くべきです。
次に、自分の仕事に対する考え方や、他人への期待について深く反省し、自問自答を通じて仕事を任せることに躊躇する本当の理由を見つめ直しましょう。
自分の気持ちを理解することで、不安が和らぎ、新しいステップを踏み出す勇気が湧いてきます。
実際に仕事を任せる時は、最初から大きな案件を任せるのではなく、小さなクライアントや簡単な案件から始めるのがいいでしょう。
職員は実務経験を積むことができ、代表は社員の成長を具体的に評価できます。
小さな成功体験を重ねることで、職員への信頼が少しずつ築かれ、やがて重要な仕事も安心して任せられるようになります。
このように、一歩一歩アプローチを進めることで、税理士事務所の代表は徐々に心のブロックを解消し、事務所全体の業務効率とサービスの質を高めることができるのです。

課題2.人に任せられるサービスで受注しているか

税理士事務所の代表が顧客面談の担当を自分から社員に移譲する際、次に大きな問題が「人に任せられるサービスで受注しているか」という点です。
特に、開業前の職員時代に、自分だけができる特別なサポートや、事務所の基本サービス以上の対応によって顧客満足度を高め、多くの紹介を獲得していた場合、この問題が顕著に表れます。
税理士事務所として提供するサービスが、代表個人の専門性や人柄に大きく依存している場合、そのサービスを他の社員が同じように提供することは非常に難しくなります。
これは、代表自身が職員時代に確立した成功モデル(事務所の標準サービスとは異なる特別なサポートや、幅広い相談対応による顧客からの感謝、単価の値上げ、紹介の獲得など)が、開業後も継続して影響を与えているからです。
その結果、開業後の顧問先は、代表の対応に満足し、比較的単価の高い顧客が多くなる傾向があります。
これらの顧問先には、税務以外の様々な経営相談が内在していることが多く、そのような知見を持たない社員に担当を変更した場合、顧問先からクレームが発生しやすくなります。
特に、1人税理士の場合、単価を追求しすぎると、人に任せにくい状況がどんどん増えていきます。

対処法2

この問題を解決する方法は2つあります。
1つ目は、優秀な人材を雇うことです。
自分と同じ、もしくは近しいレベルで実務提供し、顧問先を満足させる担当者を採用します。
多くの場合、縁故での採用が多いです。
逆に言うと、縁故以外でこのレベルの人材を採用できる可能性は限りなく低いです。
そのため、もう1つの解決策を実行します。
それは、他の人ができるレベルまで、仕事を簡単にするです。
サービス提供のプロセスを標準化し、どの社員でも基準に従って同等のサービスを提供できるようにします。
例えば、顧客との定期面談で話す内容、面談のタイミングやアジェンダ、各フェーズで行うべきことをチェックリストにまとめるなどの方法が有効です。
話す内容を狭めるということは、相談内容が似通っている顧客を一定数集める必要があります。
ここで、ターゲットを決める必要があります。

よくあるパターンは、

  • 飲食業
  • 美容士
  • 建設業

のように業種をしぼるパターンです。
悩みがある程度のパターンしかないため、マニュアル化をしやすいですし、
解決方法も他社事例を流用しやすいです。

次のパターンが、売上規模をしぼるパターンです。
複雑な税務相談が来ないので、担当者の育成がしやすいです。
多くの場合、創業が該当し、社長も若いので、若い担当者を採用したほうが話が合う・可愛がられる という側面もあります。
どちらのパターンでも、OJTは必要です。
社員がサービス提供の手順を身につけられるよう、ロールプレイングを行います。
最初は代表の隣で面談に同席させたり、面談の録画を共有したりすることで、社員が実際の対応を学ぶ機会を作ることができます。
そのため、人に引き継ぐ前提であれば、訪問型よりも来社型・WEB型のほうが望ましいです。

このように、サービスの品質を保ちつつ、異なる社員が担当しても顧客が一貫した体験を受けられるようにすることで、顧客面談の担当を代表から社員に移譲することが可能となります。
標準化されたプロセスに基づいたサービス提供は、事務所全体の生産性向上にもつながり、代表個人への依存度を下げることで、人への移譲がやりやすくなります。

課題3.人を採用・教育できるか

人に任せるというマインドを持ち、社員に任せられる担当顧客がいた場合でも、組織経営が進まないことがあります。
採用・教育の問題です。

1は先生の問題が大きく、2については先生と顧問先の契約内容次第、もしくはターゲティングの問題になります。
しかし、3については、他の事務所よりも先生の事務所で働きたいという社員を見つけ、教育し戦力化するといった、営業に近い戦略や戦術が必要になります。

対処法3

 

ここで前提になるのは、「未経験者・経験者関わらず、小規模の事務所で働くことは躊躇する」ということです。

求職者の人は、伸び盛りの事務所でNo2になるチャンス!ととらえる人よりも、
小さい事務所だから所長の一存で全部決まりそう、風通しが悪そう、
教育制度がなさそう、福利厚生が充実していなさそう、オフィス環境が悪そう…などといった印象になり、
それなりの規模があり、教育制度がしっかりしている事務所のほうが選ばれやすいのは事実です。

特に1人目で経験者を採用しようとすると、さらにハードルが上がります。
突破している事務所、つまり採用に成功している事務所の多くは、

  • 縁故で採用する
  • たまたま経験者がきた

みたいなパターンになりますが、なかなか再現性がありません。

また、経験者採用の場合の問題は他にもあります。

  • 実務能力が面談だけでは分からない
  • 事務所のやり方と合わせてくれるかわからない
    ※多くの場合、事務所内のやり方がバラバラになり、さらに社員を入れるのが難しい
  • 給与が高い

そのため、基本的には、

  • 未経験者採用を中心とした組織構築
  • 所長の時間単価が2万円を超える(年1000時間稼働で2000万)まではパート採用にする

といったどちらかの方針になると思います。

パート中心の組織の場合、勤務時間がバラバラになりやすいため、顧客面談を任せるのは難しいです。
難易度の高い仕事以外を任せる形なので、中心は記帳代行と社内業務になります。
未経験者中心の採用の場合は、目安で年収250~350万円となるかと思います。
1人採用だと失敗する可能性もあり、できれば2名採用が望ましいです。
おそらくオフィス環境も変える必要があり、ここが経営上最も利益率が低いタイミングといわれます。

採用するための給与を含めた条件決定の仕方・キャリアアップ助成金などの注意点・試用期間の設置などは採用・教育コンテンツで後日まとめますね。

まとめると、顧客ターゲットが狭められており、工程管理がある程度標準化されているなら、
パート雇用もしくは新人2名採用に着手できます。
記帳代行の比重を多くする事務所ならパート雇用はどちらにせよ必要で、
月次試算表(+その他)および決算書・内訳書などの作成・顧客との面談を依頼する前提なら正社員採用がお勧めです。

ここから営業・採用・教育を良いバランスで進めると10名規模が見えてきます。
ちなみに、10名規模になるとかなり組織経営のスタイルが選べるようになりますが、
基本は採用時の商品戦略・採用戦略に依存します。

  1. クラウド会計を活用し若手未経験のみ採用で5年で1億円事務所
  2. クラウド会計だが記帳代行を積極受注
    5年で7000万円事務所で内部は主婦パートさんが9割
  3. クラウド会計×高単価戦略で4年で年商8000万円
  4. 10名規模で2拠点運営で記帳工場を設立成功

こんな感じで、担当制なのか製販分離型なのか基本大きく2種に分かれ、
それぞれ3パターン以上に分類されると思っています。
※これは私が20社以上顧問業務して、50社以上内部業務フロー整理をしてきた上での類型です。

この組織別の強み・弱み業務フロー構築イメージはまた別途記事を作成しますね。

まとめ 組織化するか個人プロを目指すか

今の日本経済で、税理士さんの平均年齢が60代という環境です。
税理士という仕事自体はやり方自体で一生続けられるので、40代で開業される先生方にとっては、
長い人生の中で
自分の体力の限界が売上の限界に直結するモデル=個人型で戦うには、
人生は長く、1社3万円前後の税務顧問は安すぎます。

個人で2023年に100万円ほど払って信國大輔さんのCOO代行養成講座を受講しました。
その時に言われたことは、
準備移動含め、時間売上が2万円いかないようじゃ、
プロコンサルタントとして3流 でした。

時間2万円だと、1日5時間稼働で1日10万円
月15日稼働で150万円
12か月で年商1800万円です。

今、個人事業主型の税理士事務所の先生の働き方が
①戦闘力めちゃ高なプロコンサルタントの生き方
もしくは
②人に任せることができている経営モデル
が選べるようサポートできればと思っています。

ご参考になりましたら嬉しいです。

しくみラボ大須賀

しくみラボ大須賀

税理士事務所専門COO代行。開業~100名以上の事務所で集客・サイト構築から・組織設計・業務フロー再構築・採用・教育・新規事業立ち上げまで。税理士業界が大好きなオタクです。

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