顧問先の成長と自身の事務所の成長

先日、士業の先生からこんなご質問をいただきました。

ご相談者さま

『当事務所では、顧問先の成長支援に力を入れてきましたが、自社の成長が伴っていないことに気づきました。顧問先の売上は増加傾向にあるものの、当事務所の収益は横ばいです。顧問先の成長に合わせて適切な報酬設定ができていないのかもしれません。顧問先の成長を支援しつつ、自社の収益も向上させるための具体的な方策について教えていただけませんか?』

顧問先の成長支援に尽力されながらも、自社の成長が伴っていないというお悩みは、多くの税理士事務所が直面する課題だと思います。顧問先の売上増加に合わせた適切な報酬設定は、自社の収益向上に直結する重要なポイントです。以下に、顧問先の成長を支援しつつ、自社の収益も向上させるための方策をいくつかご提案します。

報酬体系の見直しと顧問先との合意形成

従来の月額固定報酬から、成果連動型報酬や時間単価制など、柔軟な報酬体系の導入を検討することは、ひとつ、有効な手段です。
顧問先の売上や利益の増加に連動した報酬設定や、提供サービスの内容に応じた時間単価の設定など、顧問先の成長に合わせた報酬体系を提案することで、自社の収益向上につなげることができます。
ただし、報酬体系の変更には、顧問先との十分な合意形成が不可欠ですが、一度の交渉で決着することは稀です。
顧問先の懸念や疑問点に耳を傾け、柔軟な交渉姿勢で臨むことが大切です。
例えば、成果連動型報酬の導入に際して、顧問先から「売上増加が見込めない場合のリスクが懸念される」という意見が出た場合、「売上増加率が一定の水準に満たない場合は、従来の月額固定報酬を適用する」といった条件を付加するなど、顧問先の不安を解消するための代替案を提示することも有効です。

業務効率化とリソース配分の最適化

顧問先の成長支援に注力する一方で、自社の業務効率化とリソース配分の最適化にも目を向ける必要があります。
定型業務の自動化やアウトソーシング、クラウドツールの活用など、業務効率化を進めることで、顧問先への付加価値提供に注力できる時間を確保しましょう。
また、顧問先ごとの収益性を分析し、リソース配分の最適化を図ることも重要です。収益性の高い顧問先により多くのリソースを投入し、成長支援の質を高めることで、自社の収益向上につなげることができるでしょう。

人材育成と組織体制の強化

顧問先の成長支援と自社の収益向上を両立させるためには、人材育成と組織体制の強化が欠かせません。
経験豊富なスタッフによる高度な専門サービスの提供と、若手スタッフによる定型業務の効率的な処理を組み合わせることで、顧問先のニーズに応えつつ、自社の生産性を高めることができます。
顧問先の成長支援に特化したチーム編成など、組織体制の強化にも取り組んでいきましょう。

顧問先の成長と自社の収益向上を両立させるためには、提供サービスの価値向上、報酬体系の見直し、業務効率化、人材育成など、多面的なアプローチが必要です。
顧問先との信頼関係を基盤に、丁寧なコミュニケーションを重ねながら、自社の成長戦略を着実に実行していくことが大切だと思います。
顧問先の成長と自社の発展を両輪で推進していく姿勢を持ち続けることが、持続的な成長につながるのではないでしょうか。

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