先日、士業の先生からこんなご質問をいただきました。
「当事務所では、資料回収の標準化に取り組んでおり、業務フローの明確化とチェックリストの活用を進めています。
しかし、一部の従業員から新しい方式への抵抗感が見られ、なかなか定着しません。
全社的な理解と協力を得るための効果的なアプローチについて、アドバイスをいただけますでしょうか?」
業務の標準化は、生産性向上と属人化の解消に欠かせない取り組みです。
しかし、個人で生産性を追求してきたメンバーからすると、チェックリストや標準化は自分の効率化を阻害する要因に見えるかもしれません。そのため、新しい方式への抵抗感が生まれるのは自然なことです。
抵抗感が生まれても、そのうえで、新しい方式が進められている部分は非常に良いと思います。
全体として2~3割のメンバーが積極的に動いているなら、成功している状態と言えるでしょう。
一方、1割以下のメンバーしか積極的でなく、ほぼ全員がしぶしぶやっている状態なら、再スタートが必要です。
全社的な理解と協力を得るための改善点は、大きく3つあります。
- そもそもの目的が何か、課題は何かが共有できているか 業務標準化の目的や、現状の問題点を明確にし、全社的に共有することが重要です。メンバー全員が同じ方向を向き、目標に向かって一丸となって取り組むことができるよう、コミュニケーションを図りましょう。
- 理想のゴールに対してなんの指標を持って改善できたか判断することができる状態か(KPI) 業務標準化の成果を可視化するために、適切なKPI(重要業績評価指標)を設定しましょう。改善の進捗状況を数値で示すことで、メンバーのモチベーションを高め、積極的な参加を促すことができます。
- 定期的に進捗を確認し、改善行動をとった人を称賛しているか 定期的に進捗状況を確認し、改善に貢献したメンバーを称賛することが大切です。積極的なメンバーが増えるよう、良い行動を認め、励ましていきましょう。
注意点として、
そもそも担当者が自分でやったほうが早くて精度も高いという認識があることが多いです。
これは会計事務所で、自分で全部やることが当たり前で、むしろ全部やって一人前といった文化が浸透しているからです。
しかし、分業してパートタイムスタッフに協力してもらったほうが、採算が良くなるケースも多いのです。
1時間当たりにかかるコストが異なるため、いかに生み出す価値が少ない部分を任せるか、総コストとして安くできるかを考える必要があります。
生産性向上と分業の重要性を理解し、総コストの最適化を目指すことが、業務標準化を成功させる鍵となるでしょう。
全社的な理解と協力を得るために、上記の3つのポイントを意識しながら、改善に取り組んでいきましょう。
属人化の壁を乗り越え、効率的で持続可能な業務体制を構築することが、事務所の発展につながります。
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